TAKUMA KANEKO

The Oil Paint Art

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個展に向けて

最近は晴れていても寒い。一ヶ月を過ぎた自分の息子も、防寒のため服やら毛布やらでぐるぐる巻きにされている。
最近は笑うようになった。

次の個展は東北地方、仙台。それに向けて作品をあと数点仕上げようとしている所。
室内での製作の場合は、以前描いた小さいサイズの絵を元に大きくし、構図や配置、色などを変えつつ作っていく。一度訪れて描いた事のある場所は、その場の雰囲気や周りの景色まで覚えているので描いていてもそのときの記憶が戻ってくる。
写真も参考にしているが、大切なのは写真の色や細部の描写を克明に移してしまわないこと。
そうなると、絵は「硬く」なって持っている元の雰囲気が失われてしまうことが多い。この理屈については長い話になる。ある写真家の記事にもそれに関する説明があった。(サイト:市村勲の写真論と世界の写真家)

下は元の絵と、これから仕上げていく作品。完成作は次の個展にて。

2011年1月17日月曜日

正確に描くことと早く描くこと

イタリアでの授業でインストラクターMarc Dalessio氏がそのことについて口にしていた。
一見正反対に思えるが、実際は正確に描けなければ時間が多くかかってしまい、自分の手が頭で描いているイメージに一致したものを描ければ、早くなる。
なので、現在や昔の作家でも上手な画家ほど、良い作品を驚くほどの早さで描き上げる人が多い。早く雑に描くのは簡単だけれど、早いのに丁寧に描くのはことのほか難しい。経験と技術を磨いて出来るものなのだと思う。
ただ早く描くこと自体に良さがあると言えないが、時間がかかったから単純に良いということも簡単には言えない。
自分でも、何日もかけた作品が駄目で、現場で数時間かけて描いたものがより良かったりということがよくある。

2010年7月6日火曜日


木と幾何

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fd/Von_Koch_curve.gif

最近外で描くのも寒くなってきた。
屋外で風景画を描いていると、木の形や雲、山の縁など色々と外形(ふち)を観察することになる。そこで「フラクタル」という考えが度々出てくる。上の図は三辺の直線を折り上げた三角を作り、更に相似でそこにできた直線を折り上げて、繰り返し・・というもの。
数学の考えだけれど、自然には多く見られるもの。
例えばモミの木を見ると大雑把に見ればとがった三角形、すこし細かく見るとギザギザの集合から出来た三角形、更に近づいて見ればその枝のかたまりもギザギザの葉の集合・と繰り返している。

絵を描くときには何処まで描けば良いという答えは無いので、ある画家は最大の外形を捉えて描き、ある画家はその次まで描く。もっと描き進めていく人も居る。それぞれで良さは表現できる。
一見、一番大きな形を捉えて描くのは一番単純で楽そうだと思うけれど、これがまた難しく、そのものの形を筆の動きで表現する必要があるので、イメージで行くと書道に近い。動きのある絵は、全体としてのリズムも必要になる。
他方、細かさを突き進めれば、フラクタルのようにその先の先のサキ…となる。

絵には文学的な考えも、理科の要素もあるから奥が深い。
下の葛飾北斎の波もフラクタル。

2009年10月17日土曜日


現地で気になっていた事


「バーントシエナ」や「ローシエナ」と言う茶色の絵具がある。直訳すると「焼いたシエナ土」、「生の(そのままの)シエナ土」。シエナで絵を描いていた 時、地面の土の色がこちら関東ロームのこげ茶色と違って、明るい黄土色の特徴的な色だなと思い、これで絵具を作ってみたらいい色になるかなと気になる。そ して甲子園球児のように土をかき集めて大切に持ち帰ってきた。
家で砕いて細かくし、油その他と混ぜ、練り合わせて自家製の「ローシエナ」が出来た。色はそれなりだが、砕きが足りなかったので粒の荒めの絵具になってしまった。絵具に砂を混ぜて描くと言う描き方があるが幾分そのような感じ。
滞在中に作った「日本に戻ったらやりたいこと、やることリスト」の一つが出来た。

2009年7月22日水曜日


写実と細密さ

今度モデル撮影の場所を近くのカフェTOUMAIに提供してもらうため話をしに行った。以前も書いた雰囲気のあるお店。ネコが多い。オーナーの人の本を読むと面白い。世界各地を飛び回っている。

人 物画がほぼ仕上がった。写真は手の部分。自分は「細かさ」より色の表現とその印象を大事にしていきたいと思っている。時間をかけて描けば描くほど終わりが 無く詰まっていく。高畑勲監督が著書「映画を作りながら考えたこと」の中で「細部まで書き込んだ結果魅力を失ってしまうことがある。ラフにかかれたものが非 常に生き生きとしていることがあり、線一本(アニメーション)でかかれたものより人の想像力は働く。」と言っていた。
これに似たことも教わったことがある。絵でも画面全体全て描き込まれていると見る人の入り込む余地が無くなってしまう。今はまだできていないけれど、絵画にできることは自分の手でそれをコントロールして表現することだと思う。

2008年5月8日木曜日


理科の話

前回関係ないとは言ったが、ゴールデンウィークなのに曇りや雨が多い。自然光で絵を描く時、曇りと晴れでは光の量が全然違う。
人の目はカメラのかなり性能のいい高いレンズと同じ位らしい。曇っていても晴れていても物の色や明るさを常に良い具合に調節して映している。
目 の性能で言ったら鳥はかなりいいと思う。視力は人の数倍あるし、色を見分ける能力は相当ある。だからオスはきれいな色彩でいるのだと思う。しかし、鳥目と 言うように鳥は暗いところを見る能力は弱い。ネコは色があんまり見えていないが、かなり暗いところでも見ることができると聞いたことがある。
あと は昆虫。ハチの実験なんかでもよくやっているが、ハチは花の蜜をとるために色を見れる範囲が人間より広いらしい。人は紫より外は黒にしか見えないが、ハチ は紫外線の範囲まで見れる。だから普段自分たちが見ている紫一色のパンジーとかもハチにはもっと違った模様で見えているらしい。
と言うことで、いろんな生き物の目の能力があったらどういった絵が描けるだろうかと考えたりする。

2008年5月5日月曜日

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